[書評] 「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱
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最終更新日:2014/04/28
Book Review ガンダム世代, ワンピース世代
私は漫画を読んだり見たりすることがすっかりなくなっていた。社会人になってからは自分で漫画を買うこともなくなり、読んだ記憶もほとんどない。嫌いなわけじゃない。小学校から中学、高校時代にかけて、たくさんの漫画を買い、あるいは借りて読んだ。もちろん、テレビ放送もたくさん見ていた。ちょうど小学生から中学生になる頃だろうか、「ガンダム」に出会ったのは。後にいわゆる“ファーストガンダム”といわれる、ガンダム初期の作品であった。
最近ある方のブログでこの作品、『「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱
』(鈴木貴博 著 朝日新聞出版)のことを知った。私はワンピースという漫画のことをタイトル以外に何も知らない。しかし、「ガンダム世代の憂鬱」という、郷愁をさそう響きとなんとも不安定な感覚が同居するようなタイトルが、私の心の奥底にしまっていた何かを揺さぶった。通常本を買う場合はタイトルだけでなく、内容、著者、発売日、そして目次などをそれなりに見て買うかどうか判断する。しかし、本書だけは違った。読まなければいけないという脅迫観念にも似たような感覚に支配され、タイトルを見て1分も経たないうちにamazonで注文してしまっていた。
1971年生まれの私の場合、著者の鈴木氏によればぎりぎりガンダム世代ということになるらしい。いや、そんなことを言われなくても、本書を読んでいれば自分がどちら側の部類に入るかは明らかだ。
若手と呼ばれた時期は労基法など顧みずに働いた。睡眠時間を削り、身体の不調を伴いながらも、彼らは「会社がやられちまえば、病気だ怪我だって言えるかよぉ」と、必死で出社した。
本書の書評は多くの方々がブログなどに掲載されていらっしゃるので、いまさら駄文を新たに加えるつもりはない。
ただ、ガンダム世代の一員として本書を手に取ったものの一人としては、願わくば一人でも多くのガンダム世代に読んでほしいと思う作品である。
世代論を展開する場合の必然性として、極端なステレオタイプ化と対比という手法があり、これが読者にとってしっくりこないとまったく面白くない作品となってしまう。そういう観点から、残念ながら本書は非常に限られた読者にしか受け入れられない作品なのかもしれない。
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